前話レビューは 第877話「敵の本隊」、 第876話「邯鄲攻防戦」、 第875話「奥深く」、 第874話「三番目の軍」、 873話「中華全土が知る」、 872話「よからぬこと」、 871話「友軍の献身」、 第870話「大きな戦略」、 第869話「大将軍の風格」 を参照ください。
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※本記事は『キングダム』第878話「同じ形」の内容に触れています。未読の方はご注意ください。
前回の第877話「敵の本隊」では、趙王都・邯鄲の城壁へ到達した飛信隊が、ついに本格的な攻城戦を開始しました。
長く続いた秦趙大戦を終わらせるため、信は自らの手で邯鄲の門をこじ開けると宣言。
しかし、勝利を目前にした飛信隊の背後へ、突如として李牧率いる趙軍本隊が姿を現します。
正面には、邯鄲の巨大な城壁と守備軍。
背後には、圧倒的な兵力を誇る李牧の本隊。
邯鄲攻略という歴史的な瞬間へ近づいていたはずの飛信隊は、一転して退路のない絶体絶命の状況へ追い込まれました。
そして今回の第878話「同じ形」では、李牧が仕掛けた恐るべき作戦の全貌が明らかになります。
第二防衛線を突破させる。
羌瘣軍や楽華軍を追撃軍との戦いへ引きつける。
飛信隊が邯鄲へ到達し、攻城戦を始めるまで待つ。
そして、飛信隊が城壁へ張りつき、背中を完全に晒した瞬間に本隊で襲いかかる。
李牧は、自国の王都・邯鄲すらも巨大な囮として利用しました。
さらに、信や飛信隊の古参兵たちは、現在の戦況がかつて王騎を失った「馬陽の戦い」と同じ形であることに気づきます。
背後から現れる李牧。
逃げ場を失う秦軍。
勝利を確信した瞬間に突き落とされる絶望。
十五年前の悪夢が、邯鄲の目前で再び繰り返されようとしています。
今回は、キングダム第878話「同じ形」のあらすじ、感想、考察をまとめながら、李牧の「邯鄲圧死作戦」、馬陽の戦いとの共通点、羌瘣と馬呈の因縁、趙王・遷と李牧の関係、そして次回第879話の展開について予想していきます。
キングダム第878話「同じ形」あらすじ
第878話は、邯鄲の城壁へ攻城はしごをかけた飛信隊の背後に、李牧率いる趙軍本隊が姿を現した場面から始まります。
勝利目前だと思っていた飛信隊の兵士たちは、突然現れた大軍勢を前に動きを止めます。
前方には、趙王都・邯鄲の巨大な城壁。
後方には、圧倒的な数の趙軍。
城壁へ取りつき、攻城戦へ意識を集中させていた飛信隊は、背中を完全に晒した状態で挟撃される危機に陥りました。
この状況を見た趙軍の軍師・琉安は、李牧の策が完璧に決まったことを理解します。
今回の包囲網は、偶然生まれたものではありません。
李牧は事前の軍議において、第二防衛線を突破されたとしても、趙軍は全力で追撃してはならないと命じていました。
李牧は、秦軍が最も突破力のある飛信隊を先行させ、羌瘣軍や蒙恬率いる楽華軍を殿として配置すると予測していました。
そこで李牧は、趙軍を二割と八割に分けます。
二割の軍で秦軍の殿へ攻撃を仕掛け、蒙恬や羌瘣の動きを封じる。
残る八割の主力は、趙の地を知り尽くした利を活かし、複数の迂回路を通って邯鄲へ先回りする。
さらに李牧は、攻城戦の準備がない飛信隊が、大量の大梯子を作るために半日ほど足止めされることも計算に入れていました。
傅抵軍、紀彗軍、骨珉伯軍は、それぞれ別の間道を通り、飛信隊が邯鄲城壁へ張りつく瞬間まで待機します。
そして、飛信隊が逃げ場のない場所へ入り込んだ瞬間、背後から一斉に姿を現しました。
李牧の狙いは、飛信隊を王都・邯鄲の城壁へ押しつけ、圧死させること。
自国の王都すら囮として利用する、恐るべき殲滅作戦でした。
一方、包囲された飛信隊では、河了貂が最悪の状況を理解します。
軍略において絶対に避けるべき、逃げ場のない場所で背後を襲われるという展開。
しかも、飛信隊は攻城戦の最中であり、趙軍に対して背中を晒しています。
その時、信や崇原、田有、尾平といった古参兵たちの脳裏に、十五年前の記憶が蘇ります。
現在の戦況は、かつて王騎を失った馬陽の戦いと同じ形でした。
龐煖を追い詰めたと思った瞬間、背後から李牧率いる未知の軍勢が現れ、王騎軍を窮地へ追い込んだあの戦い。
過去と現在が重なり、信たちの手は震えます。
周辺では、信を助けようと羌瘣が動き出します。
しかし、その進路には趙将・馬呈が立ちはだかりました。
馬呈は、かつて命を落とした劉冬の仇を取るため、羌瘣へ戦いを挑みます。
ようやく我に返った河了貂は、攻城戦の中止と陣形の組み直しを命令。
何よりも信を守るよう、飛信隊全軍へ叫びます。
しかし、趙軍はすでに突撃態勢へ入っています。
李牧は信へ、馬陽と同じ形になった以上、もう助からないと告げます。
そして、邯鄲に眠るよう静かに宣告。
李牧の合図とともに、飛信隊を殲滅するための総攻撃が始まります。
見どころ①|李牧が仕掛けた「邯鄲圧死作戦」の全貌
第二防衛線の突破すら、李牧の想定内だった
今回、最も衝撃的だったのは、飛信隊の邯鄲到達が偶然ではなく、李牧の想定に組み込まれていたことです。
前回までの展開では、秦軍が李牧の第二防衛線を突破し、ついに趙王都へ到達したように見えました。
蒙恬率いる楽華軍が殿となり、羌瘣軍も別方面で趙軍を引きつける。
その間に飛信隊が南下し、一気に邯鄲へ迫る。
秦軍が三軍を連動させ、李牧の防衛網を崩したように感じられました。
しかし、実際には違いました。
李牧は、秦軍がこの形で動くことを事前に予測していたのです。
突破力のある飛信隊を先行させる。
味方を前へ進ませるため、蒙恬や羌瘣を殿へ回す。
王都が見えれば、飛信隊は止まらない。
攻城準備が整っていなくても、その場で大梯子を作り、すぐに邯鄲攻略へ動き出す。
李牧は、信たちの行動を正確に読み切っていました。
ここが恐ろしいところです。
李牧は、飛信隊の強さを軽視したのではありません。
むしろ、飛信隊の突破力、信の性格、秦軍の連携を理解したうえで、それらを利用しています。
飛信隊が強いからこそ、先頭へ出る。
信が前へ進む将だからこそ、邯鄲を見れば止まらない。
秦軍が仲間を信頼しているからこそ、蒙恬や羌瘣が殿を引き受ける。
李牧は、秦軍の長所をそのまま弱点へ変えてしまいました。
趙軍を二対八に分ける大胆な兵力運用
李牧が用意した策の中心となるのが、趙軍を二割と八割に分ける兵力配分です。
普通に考えれば、防衛線を突破された後は、全軍で必死に追撃するはずです。
王都が危険に晒されている以上、一刻も早く飛信隊へ追いつき、攻城戦を阻止しなければなりません。
しかし、李牧は全軍で追いませんでした。
二割の軍だけを残し、蒙恬や羌瘣が率いる秦軍へ攻撃を仕掛けさせます。
この二割の役割は、敵を撃破することではありません。
秦軍の殿を足止めし、飛信隊への救援を遅らせることです。
一方、残る八割の主力は、飛信隊を直接追いかけません。
趙の地を知り尽くした利を活かし、敵に見つからない間道を通って先回りします。
追撃するのではなく、飛信隊が自ら止まる場所へ先に向かう。
この発想が、李牧らしいですね。
敵の背中を追い続ければ、距離を縮められない可能性があります。
しかし、飛信隊が必ず邯鄲で止まると分かっていれば、最短距離で追いかける必要はありません。
敵が立ち止まる場所へ、先回りすればいいのです。
戦場全体ではなく、時間まで計算した策でした。
大梯子の制作時間まで読んでいた李牧
李牧の計画が恐ろしいのは、飛信隊が邯鄲へ到着した後の行動まで読んでいたことです。
飛信隊は、攻城戦のための十分な準備を整えていませんでした。
王都へ到達することを最優先にしていたため、城壁へかける大梯子をその場で作る必要があります。
李牧は、その準備に半日ほどかかると予測していました。
飛信隊が邯鄲へ到達しても、すぐに城内へ突入できるわけではない。
大量の大梯子を作り、攻城戦の態勢を整えるまで、城壁前に留まる。
その時間を使えば、迂回路を進む趙軍本隊は十分に追いつける。
そして、最も重要なのは、飛信隊が攻城戦を開始するまで攻撃を待ったことです。
邯鄲へ到達した直後であれば、飛信隊は後方を警戒し、撤退できたかもしれません。
しかし、攻城戦を始めれば、兵士たちは城壁へ向かいます。
意識も陣形も前方へ偏ります。
背中を晒し、退路を失い、簡単には方向転換できません。
飛信隊が最も無防備になる瞬間まで待つ。
李牧は、自国の王都を目前にしながらも、焦らずに機会を見極めていました。
自国の王都すら囮にする李牧の冷徹さ
傅抵が語ったように、今回の李牧は常識を超えています。
普通であれば、自国の王都を囮に使うことなど考えられません。
万が一、飛信隊が予想以上の速度で城門を突破すれば、邯鄲は陥落します。
城内には趙王・遷、文官、兵士、そして多くの住民がいます。
李牧の策は、国家そのものを危険に晒す、極めて大胆なものです。
しかし、李牧はそれでも実行しました。
趙国を守るためには、飛信隊をこの場所で殲滅する必要がある。
そのためには、王都すら利用する。
自国への忠誠心が強いからこそ、李牧は最も冷徹な判断を下しました。
李牧は趙国を軽視しているのではありません。
趙国を守るために、趙国の心臓部すら賭け金にしたのです。
見どころ②|河了貂が言葉を失うほどの絶望的な戦況
軍略において絶対に避けるべき最悪の形
李牧の本隊が姿を現した瞬間、河了貂は思考を止めてしまいます。
河了貂は、飛信隊の軍師として、これまで数多くの窮地を乗り越えてきました。
敵の狙いを読み、信や羌瘣の力を活かし、飛信隊を勝利へ導いてきました。
しかし、今回の状況は、河了貂にとってもあまりにも厳しいものでした。
軍略において、逃げ場のない場所で背後を襲われることは、絶対に避けるべき展開です。
正面に敵がいるだけなら、戦うこともできます。
背後から攻撃されたとしても、広い場所であれば陣形を組み直し、撤退することもできます。
しかし、飛信隊の正面には邯鄲の城壁があります。
後ろへ下がろうとしても、李牧率いる趙軍本隊が迫っています。
左右へ逃げるとしても、大軍勢が展開している以上、簡単には突破できません。
しかも、飛信隊は攻城戦の最中です。
城壁へ梯子をかけ、多くの兵士が前方へ集中しています。
背後からの襲撃に対応する陣形ではありません。
傅抵が「詰み」と表現するのも無理はありません。
攻城戦を続けることも、撤退することも難しい
飛信隊は、極めて難しい選択を迫られています。
そのまま攻城戦を続ければ、背後から趙軍本隊の攻撃を受けます。
城門を突破する前に挟撃されれば、飛信隊は大きな損害を受けるでしょう。
一方、攻城戦を中止し、後方へ向き直るとしても時間が必要です。
城壁へ向かっていた兵士たちを戻し、混乱を収め、陣形を組み直す。
その間にも、趙軍は突撃してきます。
飛信隊は、正しい選択肢が見つからない状況へ追い込まれました。
だからこそ、河了貂は一瞬動けなかったのだと思います。
軍師として考えられる策を探しても、どの道にも危険がある。
それほどまでに、李牧の包囲網は完成度が高いものでした。
河了貂が最優先したのは信の生存
絶望的な状況の中、河了貂はようやく我に返ります。
そして、攻城戦の中止を命じ、後方へ向き直るよう全軍に指示します。
さらに、何よりも信を守るよう叫びます。
これは、極めて重要な判断です。
飛信隊が全滅を避けることはもちろん大切です。
しかし、信を失えば、飛信隊は根本から崩れます。
信は飛信隊の将であるだけではありません。
政が掲げる中華統一を戦場で支える存在であり、秦国の次世代を担う武将です。
李牧の狙いも、信を討ち取ることにある可能性が高いでしょう。
だからこそ、河了貂は混乱の中でも優先順位を決めました。
邯鄲攻略ではなく、生存。
前進ではなく、陣形の立て直し。
そして何より、信を守る。
飛信隊がこの窮地を乗り越えられるかどうかは、河了貂の指揮にかかっています。
見どころ③|信たちに蘇る「馬陽の戦い」のトラウマ
十五年前と同じ形で現れた李牧
今回のタイトルである「同じ形」が意味していたのは、馬陽の戦いとの共通点でした。
信たち古参兵の脳裏には、十五年前の悪夢が蘇ります。
馬陽の戦いでは、王騎率いる秦軍が龐煖を追い詰めました。
宿敵を討ち取れる。
勝利できる。
そう確信した瞬間、背後から未知の軍勢が現れます。
その軍勢を率いていたのが、李牧でした。
李牧は、王騎が龐煖との戦いへ集中する状況を作り、背後から大軍を出現させました。
王騎軍は完全に意表を突かれ、窮地へ追い込まれます。
そして、秦国を代表する大将軍・王騎は命を落としました。
今回も、構図は驚くほど似ています。
飛信隊は、邯鄲攻略を目前にしていました。
趙国滅亡へ手が届く。
長く続いた戦争を終わらせられる。
そう思った瞬間、背後に李牧の本隊が現れました。
勝利を確信した瞬間に、背後から大軍勢が襲ってくる。
過去と現在が、完全に重なります。
信、崇原、田有、尾平が感じた恐怖
馬陽の戦いを経験している信、崇原、田有、尾平たちは、目の前の状況が何を意味するのかを理解します。
彼らは、単に敵の大軍勢を見て恐怖を感じたわけではありません。
王騎を失った日の記憶が蘇ったのです。
あの時も、状況をすぐに理解できませんでした。
知らない軍勢が現れ、戦場の流れが一気に変わり、絶対的な存在だと思っていた王騎が追い詰められました。
信たちは、何もできないまま、その結末を目の当たりにしました。
そして今、再び李牧が同じ形を作っています。
ただし、今回は王騎ではありません。
李牧が狙っているのは、信自身です。
かつて王騎の背中を追いかけていた少年が、今度は王騎と同じ罠にかけられる。
この構図が、非常に重いです。
信は王騎と同じ結末を迎えるのか
李牧は信に対し、馬陽と同じ形になった以上、もう助からないと告げます。
そして、邯鄲に眠るよう静かに宣告します。
この言葉には、李牧の強烈な自信が表れています。
李牧は、信を一人の重要な将として認めています。
だからこそ、確実に討ち取れる形を用意しました。
しかし、信が本当に王騎と同じ結末を迎えるとは思えません。
物語上、信はここで生き残るはずです。
ただし、簡単に逃げられる状況でもありません。
重要なのは、信がどのように「同じ形」を壊すのかです。
馬陽では、李牧という未知の存在が王騎軍の想定を超えました。
しかし、今回の信たちは、すでに李牧の恐ろしさを知っています。
さらに、信は十五年前の下僕の少年ではありません。
数々の戦場を乗り越え、将軍として成長しました。
同じ形を作られたとしても、同じ結末になるとは限りません。
信が王騎を超えるためには、かつて王騎が破れなかった罠を打ち破る必要があります。
見どころ④|羌瘣を阻む馬呈との因縁の戦い
信を救うために即座に動く羌瘣
飛信隊が危機に陥ったことを知り、羌瘣はすぐに信を助けようと動きます。
この場面は、羌瘣らしいですね。
戦況全体を見れば、羌瘣軍も簡単には動けない状況です。
周囲には趙軍がいて、李牧の策によって足止めされています。
それでも、信が危険だと分かれば、羌瘣は迷いません。
飛信隊にとって、羌瘣は単なる強力な副官ではありません。
信と長い時間を共に戦い、何度も窮地を救ってきた存在です。
今回も、羌瘣が飛信隊へ合流できれば、大きな助けになります。
しかし、李牧も当然、それを許しません。
馬呈が羌瘣の前に立ちはだかる
羌瘣の進路を阻んだのは、趙将・馬呈でした。
馬呈には、羌瘣との因縁があります。
かつて黒羊丘を巡る戦いで、劉冬は羌瘣との戦いによって命を落としました。
馬呈にとって、劉冬は大切な仲間です。
その仇である羌瘣が目の前に現れた以上、簡単に通すはずがありません。
羌瘣は、信を救うために一刻も早く先へ進みたい。
馬呈は、劉冬の仇を討つために羌瘣を止めたい。
それぞれの思いがぶつかる戦いになりそうです。
単なる足止めではなく、長く残っていた因縁がここで回収される可能性があります。
羌瘣軍が合流できるかどうかが勝敗を左右する
飛信隊が李牧本隊の突撃に耐えるためには、援軍が必要です。
河了貂が防衛陣形を組み直したとしても、兵力差はあまりにも大きいでしょう。
正面には邯鄲守備軍。
背後には趙軍本隊。
飛信隊だけで持ちこたえるには限界があります。
だからこそ、羌瘣軍の合流は極めて重要です。
羌瘣自身の武力はもちろん、羌瘣軍が加われば、飛信隊は包囲網の一部へ反撃できる可能性があります。
しかし、馬呈が本気で羌瘣を止めれば、簡単には突破できません。
羌瘣が馬呈との戦いを短時間で終わらせられるのか。
それとも、信の救援を優先し、別の方法で馬呈を振り切るのか。
次回以降の大きな注目点です。
考察|李牧の大勝利は趙国内の亀裂を深める可能性がある
戦術的には完璧でも、政治的には危険すぎる作戦
李牧が仕掛けた邯鄲圧死作戦は、戦術的に見れば非常に優れています。
飛信隊の突破力を利用し、秦軍の部隊を分断する。
王都へ到達させ、攻城準備の時間を利用する。
飛信隊が城壁へ張りついた瞬間に、本隊で背後から襲う。
敵の心理、地形、時間、兵力を全て組み合わせた作戦です。
しかし、政治的に見ると、極めて危険な選択でもあります。
李牧は、自国の王都・邯鄲を囮に使いました。
もし飛信隊が城門を突破していれば、趙王・遷も危険に晒されていました。
城内では、実際に大きな混乱が起きています。
前回、遷は李牧の居場所を問い続け、苛立ちを部下へぶつけていました。
李牧があえて王都へ敵を近づけたと知れば、遷はどのように受け止めるでしょうか。
国を救うための作戦だったと理解するとは思えません。
自分を危険に晒した。
何も知らされていなかった。
王である自分を軽視した。
そのように考え、李牧への不信感をさらに募らせる可能性があります。
趙王・遷の猜疑心が李牧を追い詰める?
趙国の最大の弱点は、李牧の軍略ではありません。
王と朝廷です。
李牧は、趙国を守るために最善を尽くしています。
秦国には、信、王賁、蒙恬をはじめとする若い将軍が育ち、強大な軍勢が攻め込んできています。
それでも李牧は、秦軍の動きを読み、何度も大きな損害を与えてきました。
しかし、李牧がどれほど戦場で活躍しても、朝廷がその力を正しく理解できなければ、趙国は内部から崩れます。
今回、李牧が飛信隊を殲滅し、大きな戦果を挙げたとしても、遷との溝が深まる可能性があります。
戦場では勝つ。
しかし、その勝利によって王の猜疑心が強まる。
李牧にとって、皮肉な展開です。
李牧最大の敵は秦軍ではなく趙国そのものかもしれない
李牧は、秦軍を追い詰める力を持っています。
王騎を討ち、桓騎を倒し、信たち次世代の武将も窮地へ追い込む。
軍事的には、間違いなく中華屈指の名将です。
しかし、李牧には自分の力だけでは解決できない問題があります。
趙王・遷と、腐敗した朝廷です。
どれほど国を守ろうとしても、王が李牧を信じなければ、十分な力を発揮できません。
今回の作戦も、軍事的には見事ですが、趙王の感情を考えると危うさがあります。
李牧の最大の敵は、秦軍ではなく、守ろうとしている趙国そのものなのかもしれません。
考察|蒙恬と王賁が「同じ形」を崩す鍵になる?
蒙恬はすでに李牧の罠へ気づいている
飛信隊にとって、希望が全くないわけではありません。
前回、蒙恬は秦軍の進撃が順調すぎることに違和感を抱いていました。
趙軍の主力はどこにいるのか。
王賁率いる玉鳳軍はどこで戦っているのか。
陸仙の部隊から、なぜ報告が届かないのか。
敵の姿が見えないことを危険だと判断し、部隊の軌道修正を命じています。
蒙恬がこの時点で異変へ気づいたことは、非常に重要です。
馬陽の戦いでは、李牧軍の出現そのものが未知でした。
しかし、今回は蒙恬が早い段階で警戒しています。
李牧の罠が完全に決まる前に、楽華軍が動ける可能性があります。
楽華軍が救援へ向かえば包囲網に穴が開く?
蒙恬率いる楽華軍が飛信隊の救援へ向かえば、李牧の包囲網へ穴を開けられるかもしれません。
もちろん、楽華軍も趙軍の二割によって足止めされています。
簡単に動ける状況ではありません。
しかし、蒙恬は戦場の流れを読むことに長けています。
全軍で無理に突破するのではなく、敵の薄い部分を見つけ、愛閃や陸仙の部隊を動かす可能性があります。
李牧の本隊が飛信隊へ集中すれば、どこかに隙が生まれるかもしれません。
そのわずかな隙を突き、飛信隊が脱出するための道を作る。
それが、蒙恬の役割になる可能性があります。
王賁率いる玉鳳軍の動向が最大の伏線
もう一つ気になるのが、王賁率いる玉鳳軍の動向です。
前回、蒙恬も玉鳳軍がどこにいるのかを気にしていました。
王賁の現在地が明確に描かれていないことには、意味があるはずです。
玉鳳軍も趙軍によって足止めされているのか。
それとも、李牧の包囲網の外側にいて、反撃の機会を狙っているのか。
王賁が別方向から李牧軍の側面へ攻撃を仕掛ければ、飛信隊は生存できる可能性があります。
信、蒙恬、王賁。
秦国の次世代を担う三人が、それぞれの強みを発揮し、李牧の罠を崩す。
馬陽と同じ形を打ち破るためには、一人の武力だけではなく、三軍の連携が必要になるのではないでしょうか。
次回第879話の展開予想|飛信隊は馬陽と同じ悪夢を覆せるのか
予想①|李牧本隊の総攻撃で飛信隊が大混乱に陥る
次回、第879話では、李牧本隊による総攻撃が本格的に始まる可能性が高いです。
飛信隊は、まだ陣形を十分に整えられていません。
城壁へ向かっていた兵士たちを戻し、後方へ向き直る必要があります。
しかし、趙軍はその時間を与えないでしょう。
李牧は、飛信隊が最も無防備になる瞬間まで待っていました。
背後からの突撃によって、飛信隊は序盤から大きな損害を受ける可能性があります。
特に、混乱した歩兵隊や攻城はしご周辺の兵士たちが狙われれば、陣形は一気に崩れます。
河了貂がどこまで早く態勢を立て直せるのかが重要です。
予想②|信が恐怖を乗り越え、後方の趙軍へ向き直る
信は、馬陽の記憶によって一瞬動きを止めました。
しかし、ここで恐怖に飲み込まれるわけにはいきません。
十五年前、信は王騎を助けることができませんでした。
当時は、まだ戦場を駆け回る一人の少年にすぎません。
しかし、今は違います。
飛信隊を率いる将軍です。
自分が止まれば、仲間たちも止まります。
次回では、信が怒りと恐怖を乗り越え、李牧軍へ向き直る可能性があります。
王騎と同じ結末を迎えないために、自ら先頭へ立つ。
この危機は、信が大将軍へ成長するための大きな試練になるでしょう。
予想③|羌瘣と馬呈の戦いが本格化する
信を助けようとする羌瘣の前には、馬呈が立ちはだかりました。
次回以降、羌瘣と馬呈の戦いが本格化する可能性があります。
馬呈は、劉冬の仇を討つために羌瘣を止めようとします。
一方の羌瘣には、長時間戦っている余裕がありません。
信と飛信隊を救うためには、一刻も早く馬呈を突破する必要があります。
羌瘣が短期決戦を選ぶのか。
羌瘣軍の別部隊へ指示を出し、自分以外の兵士を先へ向かわせるのか。
因縁の戦いと、救援の時間制限が重なる展開になりそうです。
予想④|蒙恬率いる楽華軍が救援ルートを作る
蒙恬は、李牧の罠へ早い段階で気づいています。
そのため、次回では楽華軍が飛信隊の救援へ向けて動き始める可能性があります。
ただし、真正面から李牧本隊へ突撃しても、兵力差で押し潰されます。
蒙恬が狙うとすれば、趙軍の薄い部分でしょう。
李牧軍が飛信隊を包囲するために展開したことで、側面や後方に一時的な隙が生まれているかもしれません。
愛閃や陸仙を動かし、包囲網の一角を崩す。
飛信隊が完全に圧死させられる前に、脱出経路を作る。
蒙恬の判断力が、馬陽と同じ結末を防ぐ鍵になる可能性があります。
予想⑤|王賁率いる玉鳳軍が予想外の方向から現れる
王賁率いる玉鳳軍の動向も気になります。
ここまで王賁の現在地が明確に描かれていない以上、重要な場面で登場する可能性があります。
李牧本隊が飛信隊の殲滅へ集中している時、側面から玉鳳軍が突撃する。
あるいは、飛信隊の退路となる地点へ先回りし、包囲網へ穴を開ける。
王賁は、状況を冷静に分析し、敵の弱点へ鋭く攻撃することに長けています。
蒙恬が危険を察知し、王賁が具体的な突破口を作り、信が飛信隊を率いて脱出する。
この三軍連動によって、李牧の完璧な罠を崩す展開に期待したいです。
予想⑥|邯鄲城内で趙王・遷の疑念が爆発する
李牧の作戦は、戦場だけでは終わらない可能性があります。
邯鄲城内では、趙王・遷が李牧の不在に苛立っていました。
もし、飛信隊を誘い込むために、李牧があえて王都を危険に晒したと知れば、遷は激怒するかもしれません。
たとえ李牧が飛信隊を殲滅したとしても、遷が素直に評価するとは限りません。
むしろ、自分の命を賭け金に使われたと感じ、李牧への不信感をさらに深める可能性があります。
秦軍との戦いでは李牧が優勢。
しかし、趙国内では李牧と遷の溝が広がっていく。
戦場の勝利が、趙国崩壊の火種になるという皮肉な展開も考えられます。
まとめ|第878話は王騎を失った馬陽の悪夢が再び蘇る回
キングダム第878話「同じ形」は、李牧が仕掛けた邯鄲圧死作戦の全貌と、飛信隊が直面する絶望的な状況が描かれた回でした。
李牧は、飛信隊が第二防衛線を突破することを想定していました。
さらに、秦軍が飛信隊を先行させ、蒙恬や羌瘣を殿へ回すことも予測。
趙軍を二割と八割に分け、二割で秦軍の援軍を足止めし、八割の本隊を複数の迂回路から邯鄲へ先回りさせます。
飛信隊が大梯子を作り、城壁へ張りつき、背中を晒すまで待つ。
そして、最も無防備になった瞬間に背後から総攻撃を仕掛ける。
自国の王都すら囮として利用し、飛信隊を邯鄲の城壁へ押しつけて殲滅する。
これが、李牧の邯鄲圧死作戦でした。
さらに、信や崇原、田有、尾平たちの脳裏には、王騎を失った馬陽の戦いが蘇ります。
勝利を確信した瞬間、背後から李牧率いる大軍勢が現れる。
十五年前と、全く同じ形です。
李牧は信へ、馬陽と同じ形になった以上、もう助からないと宣告しました。
しかし、信は十五年前の少年ではありません。
今は、飛信隊を率いる将軍です。
さらに、今回は異変へ気づいた蒙恬、動向が明かされていない王賁、信を助けようとする羌瘣もいます。
飛信隊は本当に李牧の策によって圧死させられるのか。
河了貂は防衛陣形を完成させられるのか。
羌瘣は馬呈を突破し、信のもとへ駆けつけられるのか。
蒙恬と王賁は、李牧の包囲網へ穴を開けられるのか。
そして、李牧は戦場で勝利したとしても、趙王・遷との関係を保てるのか。
次回第879話では、馬陽の悪夢を乗り越えるための飛信隊の反撃に注目です。
