第857話「誉れ高き敵」では、楊端和の重傷によって戦線崩壊の危機に陥るも、秦軍の柔軟な連携と若き才能によって、戦局の流れが大きく動き始めます。
特に注目すべきは、幻の一族・百眼族の族長ハダマの登場と、蒙恬の即断による援軍の派遣、そして韓の大将・洛亜完の遺児である洛亜章の登場です。
彼の語る「誉れ高き敵」という父の言葉は、かつての敵だった秦軍と元韓軍の絆を繋ぎ、戦場に新たな誇りと信頼をもたらします。さらに、十弓の一人・青華雲が飛信隊の信を狙い始めることで、戦局は次なる急展開を迎えるのです。
楊端和軍を襲う危機と幻の参謀ハダマの登場
楊端和の離脱で動揺する戦場
戦場序盤で楊端和が李牧の狙撃によって倒れたことにより、山の民軍は大きな混乱に見舞われます。バジオウ、タジフ、キタリらが怒りに燃え突撃しますが、それは局所的な抵抗に留まり、全体の戦局を覆すには至りません。
趙軍の司令・舜水樹はこの動揺を見逃すはずもなく、右翼のフィゴ族、左翼のメラ族を各個撃破しようと動き出します。
幻の百眼族とハダマの冷静な采配
この危機を救うために登場したのが、山界の中でも存在すら知られていなかった”幻の一族”百眼族。その族長ハダマと娘ウダマは、楊端和の”影の参謀”として長年策を授けていた存在でした。
ハダマは本陣に現れ、四軍の暴走を鎮めつつ、全体の戦況を冷静に分析。特に左翼のメラ族への趙軍の圧力を警戒し、隣の蒙恬軍に援軍を要請したと明かします。
このハダマの登場により、戦場に理性と知略が戻りつつありました。
蒙恬、戦場を変える即断の決断力
援軍要請を受けた蒙恬
ハダマの息子・ヌダマが伝令として現れ、蒙恬に対し「楊端和が討たれ、戦線が崩壊寸前」と伝えます。これに対し、蒙恬の参謀たちは当然反対意見を出しますが、蒙恬は即断で1万2千の兵を派遣することを決定します。
ここに、昌平君が言っていた「流れの中で役割を理解し、遂行する能力」の真価が表れました。
青華雲の存在を共有する判断
ヌダマはさらに、恐るべき弓使い・青華雲の存在を蒙恬に伝えます。蒙恬は即座に全軍へ警戒情報として共有するよう命じました。この迅速な情報伝達が後に信を救う伏線となる可能性は十分にあり、蒙恬の知将としての力量が存分に発揮されました。
羌瘣軍と紀彗軍の戦況:鍵は元韓軍
羌瘣軍が押される理由と状況
蒙恬は隣接する羌瘣軍の戦況にも目を向けます。そこでは2万の羌瘣軍が5万の紀彗軍に押されていました。紀彗は兵力差を巧みに運用する堅実な将軍であり、正面からの押し合いでは分が悪い戦況です。
洛亜章、登場!
そんな中で登場したのが、韓の名将・洛亜完の息子、洛亜章です。彼は2万の元韓軍を率い、羌瘣に両翼での挟撃を申し出ます。
その瞬間、参謀たちに緊張が走ります。なぜなら、彼はかつて秦に父を討たれた遺児であり、裏切りの可能性が過るからです。
洛亜章の覚悟と「誉れ高き敵」
羌瘣の問いに対する答え
羌瘣はその不安を口にし、「父を討った秦軍に恨みはないのか」と核心を突きます。洛亜章は、父との最期のやり取りを思い返しながら答えます。
「相対した秦軍は誉れ高き敵だった」
「敗れたのは悔しい、だが恨みではない」
この言葉こそが、タイトルにもある「誉れ高き敵」の真意。
彼の中で、父の死は悔しさではあるが、恨みではなく、前へ進むための礎であることが語られました。この誇り高い返答に羌瘣は安堵し、「ありがとう」と礼を述べ、彼の軍を「洛亜軍」と命名。戦場での最大の信頼を与えます。
秦軍と元韓軍の溝を越える瞬間
この場面は、敵対していた過去を超え、「信頼」と「誉れ」が新たな秩序を築いた瞬間でした。かつての敵が、今や秦の未来を支える盟友となったのです。
信に迫る影――中華十弓・青華雲の狙い
熱い戦いに一瞬揺れた“死神”
洛亜章率いる元韓軍が戦場で猛攻を仕掛ける中、それを遠くから見つめていた男がいます。李牧の命で次の標的へと向かっていた中華十弓・青華雲です。
彼はその場に一度足を止め、烈火のごとく戦う洛亜章らを見つめました。一瞬、彼の中で何かが揺れた可能性もあります。
しかし彼はすぐに表情を戻し、標的である信の元へ向かいます。
信の元へ向かう矢
こうして、かつて楊端和を瀕死に追いやった”無慈悲な矢”が、今度は飛信隊・信へと向かい始めます。
この情報を把握しているのは今のところ蒙恬とその近辺だけ。果たして信は、この死神の矢から逃れることができるのか。
次回展開予想:洛亜章の戦果と信への危機
羌瘣軍の反撃は成功するか?
羌瘣+洛亜軍の挟撃により、5万の紀彗軍を押し返せる可能性が見えてきました。今後は紀彗の反応次第で、一気に羌瘣軍が優位に立つ展開もあるでしょう。
ただし、ここで李牧がさらに奇策を仕掛ける可能性も高く、油断は禁物です。
信 vs 青華雲の対決は起きる?
次なる展開で最大の焦点はここです。
青華雲が信の命を狙う中、飛信隊がどこまでその動きに対応できるのか。蒙恬が間に合うのか、それとも羌瘣が気づくのか?
信の”将軍への道”に訪れた最も危険な瞬間が、次回以降に描かれると予想されます。
まとめ
第857話では、絶望的な局面でこそ輝く”信頼と覚悟”が強く描かれました。影の参謀ハダマの冷静な采配、蒙恬の即断、そして洛亜章の誇り高い言葉。
それぞれが1つの戦場の歯車として美しく噛み合い始める中、新たな恐怖が信に迫ることで緊張はさらに高まります。
誉れ高き敵がもたらした”信”の絆――その意味が次回、試されるのかもしれません。
