モエギ復活が示す“救済の未来”
木ノ葉丸とモエギの再会
木化されていたモエギを木ノ葉丸が棘魂で解放し、涙ながらに抱きしめるシーンは感動的でした。この瞬間、「木に取り込まれた者も救える」という未来が明確に示されました。仲間を失う絶望の中で希望が灯る演出は、物語全体に大きな意味を与えています。
サスケ復活への光明
モエギが戻った事実は、同じく木化状態にあるサスケの復活可能性を示しています。ジュラには敗北したものの、ボルトは擬態の左目を攻略しており、条件次第でサスケも救出できる展望が描かれました。読者にとって「死んでいない、戻れる」という安心感が強調された展開でした。
仲間が守られていた意味
さらに、シンキや我愛羅が無事と判明したことで、物語の緊張感と同時に救済の広がりが感じられました。木ノ葉丸が仲間を取り戻す姿は、今後の戦いにもつながる「仲間は必ず守る」という意志の象徴です。この流れが、次なる戦いへの布石にもなると考えられます。
サラダがついに語ったボルトへの想い
本音を明かす瞬間
サラダが「ボルトが好き」とついに口にしたシーンは、この回最大の衝撃でした。幼馴染として意識していなかった頃から、彼がいなくなった時間を経て積み重ねてきた気持ちを自覚した瞬間。火影を目指す彼女にとって、恋心は弱さではなく力の源であると認める決断が描かれたのは感慨深いです。
過去の自分を振り返る
サラダは、以前スミレに「ボルトを気にしているのか」と問われた際、「気にしていない」と答えた自分を思い出していました。あのときは本当に本音だったが、その後の戦いや別離を経て心境は大きく変化。目の前の現実を直視しなかった自分を反省し、今度こそ逃げずに向き合おうとする強さが伝わってきます。
恋心と火影の道の両立
「ボルトを想う気持ちが力になるなら、火影を目指す自分は間違っていない」──サラダはそう確信に至りました。火影としての志と個人的な恋心は矛盾するものではなく、むしろ相乗効果を生む。ナルト世代には見られなかった“恋と夢の両立”を堂々と語った点が、次世代らしさを象徴しています。
スミレとの友情とライバル関係の成立
本音を交わす二人
サラダとスミレは過去の衝突を反省し合い、本音を語り合うことでようやく心から繋がりました。サラダが素直に自分の気持ちを認め、スミレもそれを受け止めた瞬間、二人はただの仲間から“信頼できる友”へと変化。恋心を抱えながらも互いを尊重する姿勢は、非常に清々しいものでした。
友情と恋心の両立
二人の間には同じ相手を想うライバル関係がありますが、それを壊すのではなく支え合う関係として描かれました。サラダが「ボルトを好き」と告げたとき、スミレは驚きよりも「やっと気づいたのね」という表情を見せています。敵対ではなく共鳴を選んだ関係性は、物語をより人間的に豊かにしました。
エイダの視線が加わる面白さ
このやり取りを千里眼で見ていたエイダは、恋バナを傍観しながら嫉妬混じりに感知班へ接続を迫ります。「私の知らないところで盛り上がっているなんて!」という反応は、彼女のキャラクター性を際立たせるユーモアでした。友情と恋心が交錯するシーンに外部の視線が絡むことで、よりドラマ性が深まっています。
ヒマワリ×九喇嘛の修行が描く新たな可能性
九喇嘛との組手
ヒマワリが精神世界で九喇嘛と組手をするシーンは、父ナルトの物語を知る読者にとって胸が熱くなる場面でした。幼いながらも尾獣と対話し、直接修行を受ける姿は次世代の力強さを示しています。かつて敵だった九喇嘛が最初から味方として導いている構図は、親子の物語を超える新しい関係性の象徴でもありました。
尾獣化身という特別性
九喇嘛が語った「人柱力ではなく尾獣そのものに近い存在」という指摘は衝撃的でした。ヒマワリは尾獣を宿す者ではなく、尾獣の性質を内包する特異な存在。これはジュラや大筒木に匹敵するスケールを示唆しており、今後の戦いにおける彼女の役割の重要性を強く印象付けています。
修行の余韻と今後
九喇嘛は「自分をチャクラの化身だと思え」という助言を残し、疲れて眠りにつきました。話が途中で終わったことで、ヒマワリは不満げながらも修行を続ける決意を固めます。この中断が逆に期待を煽り、次の成長への布石として描かれました。小さな少女が巨大な力を制御していく物語は、今後の大きな見どころになるでしょう。
ボルトとモモシキの取引が示す覚悟の重さ
不意の接触
25話で最も衝撃だったのは、ボルトからモモシキに接触した場面でした。これまで憑依される側だった彼が、自ら精神世界で向き合う姿は新鮮であり成長の証です。モモシキに「力を貸してくれ」と頼む大胆さは、死を恐れない潔さをも示していました。拗ねたようなモモシキの態度との対比が印象的でした。
命を賭けた提案
ボルトは「十羅を倒せたら自分の身体を譲る」という衝撃的な条件を提示しました。自らの命を差し出すことで協力を引き出そうとする姿は、背負うものの大きさを示しています。この覚悟は英雄的であると同時に、危うさも孕んでおり、ボルトの自己犠牲的な側面が強く浮き彫りとなった瞬間でした。
仲間との対比
サラダとスミレが恋心や友情でボルトを支えたいと願う一方、本人は自らの存在を犠牲にしてでも使命を果たそうとしています。彼女たちが見せた温かな感情と、ボルトの冷徹な覚悟は鮮やかな対比となり、物語に深い陰影を与えました。この隔たりをどう埋めていくのか、今後の人間関係の焦点となるでしょう。
まとめ
BORUTO -TWO BLUE VORTEX- 第25話『あの娘達に』は、救済の未来を感じさせるモエギの復活、サラダの恋心の告白、スミレとの友情とライバル関係の成立、ヒマワリと九喇嘛の修行、そしてボルトとモモシキの命を賭けた取引と、濃厚なエピソードが一気に描かれた回でした。特に「仲間を守る力」と「想いを認める勇気」がテーマとして強く響き、次世代の物語が大きな転換点を迎えているのを実感させてくれました。
そして個人的には、いずれすべての戦いと苦悩が解決したその果てに──ナルトがボルトに「スミレとサラダ、どっちが好きなんだ?」と茶化しながら聞くシーン。そこへサスケが現れ「おい、サラダだろ?俺の娘だぞ?」と口を挟むような、そんな温かな日常のワンシーンを夢見てしまいます。そんな未来を願わせてくれる今回の展開は、まさに“希望を描いた一話”だったのではないでしょうか。
